入れ歯の形
いわゆる入れ歯、私たちの言葉では床義歯とか可撤性義歯とかいいますが、皆さんの意識ではピンク色の歯肉の部分が付いた、取り外し式の入れ歯について。私は基本的に大きな入れ歯、すなわち総入れ歯や残っている歯の数が少ない入れ歯は、自ら技工をして作っています。経費の節減という意味も少しはありますが、何より歯肉の形や人工歯の並べ方について、自分で納得できるように作れることが理由です。
今日久しぶりに、ほぼ総入れ歯の症例で技工所に出した義歯をセットしました。しかし、何となくしっくり感じない。患者さんには問題なかったようですが、今ひとつ気持ちよく入れられませんでした。もちろん当院でお願いしている技工所は高い技術を持っており、それなりの料金を払っています。しかし何となく自分のイメージとは違ってしまう事が、やはりあります。
なぜダメなのかといえば、細部について一つ一つ理由は付けられます。しかし全体的に見たときに「パッ」と違い、違和感を感じるものです。例えば、絵を見たときに素人の私たちが分からないのに、絵心のある人にはその違いが分かるようなものでしょうか。
診療の終わったあとや休日に、技工作業をするのはなかなか辛いものです。あるいはその時間を診療の延長や勉強に使った方が良いのかもしれません。しかし補綴科の端くれの私としては、技工は診療や研究のヒントの源泉でもあります。
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