2010年8月 9日 (月)

クララ・シューマンの3つのロマンス

 去る6月20日、日曜日の午後に今年も前橋交響楽団の「楽芸会」が行われました。楽芸会とは前響団内の室内楽の発表会で、団員有志がソロ、アンサンブルの曲を持ち寄って、日頃の練習の成果を発表します。オケ団員のみんなが出るわけではないのですが、私は毎年オーボエのソロの曲を1曲づつ仕上げることを目標(課題)として、楽芸会で発表しています。8年くらい前からは町内でピアノ教室を開いている井藤先生にピアノを毎年お願いしています。たまたま家に入っていた教室のチラシを見てお願いしたのがきっかけなのですが、ピアノは確かな腕を持った方で私の要求する非常に大変な難曲にも取り組んで頂いてきました。

 ことしはシューマン・イヤーでもあり、また昨年非常に困難な曲(マルティヌーのコンチェルト)をお願いした罪滅し(?)もあり、ピアノがとってもカッコいい「クララ・シューマンの3つのロマンス」を演奏しました。この曲は元々はヨアヒムの演奏に感動して作曲したヴァイオリンとピアノのための曲なのですが、ロベルト・シューマンの3つのロマンスとの関係からよくオーボエでも演奏します。ただそのせいでやはり体力的に若干厳しい曲です。しかしながらそれを補って余りあるとっても美しい、本当に「ロマンス」という名前にふさわしい曲であります。

 楽芸会では大過ないできではありましたが、自分としては若干不本意な演奏でした。ただ曲は評判良かったようでした。そんな中でこの秋、9月19日に前橋で「風のまち音楽祭」というのをやるということで、前響に演奏依頼が来ました。弦楽器のアンサンブルで一つ出ることは決まったのですが、残念ながら管楽器が集まらなさそうなので、そんな経緯もあって私が一念発起、この曲で出ることにしました。さらに8月1日にその打ち合わせ会があったのですが、どうも結構長い持ち時間があるようなので、結局相談のうえロベルト、クララ両方の「3つのロマンス」をやってしまうことにしました。シューマン・イヤーにこれは非常にふさわしいプログラムですが、私にとっては非常に厳しい事になりました。これからひと月あまり頑張って、近年落ち込みつつある演奏体力と演奏気力を取り戻そうと思います。前橋近辺の方は、9月19日はぜひ前橋テルサロビーに来て下さい。

2009年7月 9日 (木)

楽芸会2009

 6月21日日曜日、前橋交響楽団の年中行事の一つである「楽芸会」が行われました。学芸会ではなく、楽芸会です。これは前響メンバーによる室内楽、独奏の発表会で、ほとんど関係者のみの聴衆なのですが、毎年楽しく行われています。今年は県生涯学習センター多目的ホールにて行われました。
 さて、私は毎年この会をターゲットとして、一年に一曲独奏曲を仕上げることを目標にしています。最初は全くのソロや弦と一緒の曲をやっていましたが、7年ほど前から近所でピアノ教室を開いているⅠさんに伴奏をお願いして、独奏曲をやっています。私自身の楽器の「修行」として毎年厳しい曲を自らに課しているのですが、だいたい難しい曲の伴奏は難しいもので、いつもⅠさんには大変なご苦労をかけています。今年はマルティヌーの生誕100年ということで、そのオーボエ協奏曲をやりました。本番のできはともかく、今回はかなりの難度の割には大分完成度が高くできたと思います。

 最近ほとんど出かけていないのですが、私は山も好きで大学の頃はけっこうハードな単独行をしておりました。それで家内に言われたことなのですが、「山は危ないことに挑戦すると大変なことになるが、楽器はいくら難しいことをやっても死ぬことはない。(から挑戦しても良い)」。 確かにもっともなことで、これからも周りの迷惑を顧みず、挑戦していきたいと思っています。ちなみに楽芸会での独奏の記録。’02 パスクッリ/「ファリボータ」による協奏曲、’03 スカルコッタス/コンチェルティーノ、 ’04 ケクラン/14の小品より 第1巻、 ’05 マルタン/小さな嘆き、篠原/オブセッション、 ’06 シューマン/3つのロマンス、 ’07 バッハ(偽作、ピゼンデル)/ヴァイオリンソナタBWV1024、 ’08 ミヨー/ソナチネ、 ’09 マルティヌー/コンチェルト  以上。 

2009年6月26日 (金)

怒涛の6月

 毎年大体そうなのですが、今年も嵐のような6月がやっと終わりに近づきつつあります。6月といえば歯科にとっては6月4日を中心とした「虫歯予防」の月、それで忙しいのが普通ですが、私にとっては「学会」と「音楽」の月なのです。今年はそれが日曜にずっと並んで、というか自らそう予定を入れたのですが、ずっと休み無しなのでした。5/30午後・31 Pacific Osseointegration Conference、6/6・7 日本補綴歯科学会、 6/14 インプラント周囲のソフトティッシュマネジメント講演会(鈴木真名先生)、6/18 保育所健診、 6/21 前響楽芸会、6/25 群馬県歯科医学会役員会と公開講座 というわけです。

 5月30・31日のPOCは、一昨年に続き第2回、日本におけるブローネマルクインプラントの草分けである小宮山先生らが立ち上げた学術集会です。第1回目の報告は以前のブログをご参照ください。今年は、その普及に伴い急速に問題点が噴出しつつあるインプラントの現在に焦点を当てた、実にタイムリーなテーマ設定でした。というか、もともと設立の趣旨のひとつが安易なインプラントへの警鐘ということでありました。私は土曜日を一日休みにするわけにはいかず、午後からの参加でした。一昨年に比べて若干焦点の広がった内容という印象でしたが特に最後のディスカッションでは有益な議論が聞かれました。

 補綴学会とインプラント周囲のソフトティッシュマネジメント講演会、楽芸会は別項で報告します。6月18日(木)は嘱託医として担当している花の森保育園の歯科健診でした。今年はほぼ健診のみでしたが、同じ年齢の子が同じように並んで検診を受けても、口のあけ方、態度、おしゃべりなどみな個性があり、いつも大変面白く診させてもらっています。どうしても診療椅子と違い若干暗い状況での健診であり、見落としやなかなか判断のつかないところもありますが、最後のお話で言ったようにこれが自分お口の中に関心を持つ機会になってくれればと思います。

 本日6月25日(木)は群馬県歯科医学会の役員会、総会、特別講演でした。群馬県歯科医学会は歯科医師会とは別組織の学会で、歯科医師会会員の約半数が入っています。今年から伊勢崎佐波地区の幹事として、役員に名を連ねることになりました。はっきり認識していなかったのですが、学会が発足してもう13年だそうです。これまで特に熱心な会員ではなかったのですが、これも何かの縁だと思います、微力ながら働いていきたいと思います。

 その特別講演は、明海大学の補綴の教授である藤沢政紀先生による「顎関節症治療から学んだ補綴臨床の注意点-さまよえる患者を診る、知る、そしてつくらないために-」でした。非常に臨床に即した、どちらかというと歯科心身症的なお話と、顎関節症については特に復位性・非復位性関節円板前方転位に対する治療の変遷等について話されました。最初に講師自身がおっしゃっていたように系統だった話ではありませんでしたが、症例を通じて、われわれ歯科医師の患者に対する姿勢、治療や病態というものに関するかかわり方を改めて考えさせてくれ、謙虚かつ真摯な取り組みが必要なことを強調したお話でした。そしてそれは私自身の普段考えている診療姿勢にとてもフィットするものであり、聴いていてスッと入ってくるご講演でした。

2008年2月19日 (火)

前橋の街中

 日曜日の午後、前橋に出かけました。本町駐車場に車を置き、馬場川沿いに「元気21」までぶらぶら歩きました。というのも、来る3月9日(日)午後にその1階ホールで「前響ファミリーコンサート」をやるのですが、その打ち上げ会場となる喫茶店がないか、探しに行ったのです。
 風花の舞う中キョロキョロしながら行ったのですが、静かなというか渋くて味があるといえばそれまでですが、寂しい雰囲気の街角が続きます。結局元気21内の店に仮の予約をしてきました。逆にこの落ち着いた雰囲気を何か活性化に生かせないかと思いました。伊勢崎の本町の風俗街よりはずっとましだと思います。
 その後煥乎堂でスコアや本を立ち読み。中学・高校時代にはこんなに読むべき本、知識が世の中にあるのだと、いつも気持ちが活性化されたこの書店ですが、なかなか経営が難しいという事。駐車場をずっと持たなかったのが敗因でしょうか。でもやはり私的には当時の気持ちを思い起こさせる大事な場所です。

2007年4月27日 (金)

シューベルトの魔性

 木曜日は私の参加している前橋交響楽団の通常練習日。今日は月末で歯科医師会の例会があったため、1時間ほど遅れて練習会場に到着しました。秋の演奏会に向けて、今はシューベルトの「グレート」(交響曲第8(9)番)を練習しています。
 寄る年波のせいもあるのでしょうが、この曲を練習始めてから練習後はどっと疲れます。もちろんオーボエが非常にカッコイイという理由もあるのですが、シューベルトの魔力とでも言いましょうか、練習直後は高揚感があり知らないうちにヘトヘトになっている、魂を吸い取られるような(大げさですが)疲労感です。以前「未完成」をやった後も、若干違いはありますがとっても疲れた覚えがあります。
 一見(一聴か、)美しい歌にあふれた明るい「グレート」ですが、ふと気付くとゾッとするほど物悲しい部分もあり、その感情の変化が急激で尋常ではないところがあります。無垢で明るいハ長調に隠されたシューベルトの闇とでもいえましょうか。これから秋まで、前響の仲間と一緒にその魅力をますます堪能したいと思います。

2007年3月 4日 (日)

前橋交響楽団ファミリーコンサート

 本日午後、前橋の県公社ビルホールにて私の参加する「前橋交響楽団」の演奏会がありました。春は「ファミリーコンサート」と称して比較的小さな曲を演奏します。今年は混声合唱団「すいせい」と一緒にシューベルトのミサ曲第2番をメインに演奏しました。シューベルトは「冬の旅」などのリートで有名ですが、もともと教会の合唱団にいた事もあってミサも7曲書いており、この2番も18歳の時に作られた非常に美しい旋律にあふれた佳作です。オケは弦5部にオーボエ、ファゴット、トランペット、ティンパニという小編成ですが、合唱やソロなどの声と一緒に、あるいは対旋律として絡んでいく時、またなかなか演奏する機会のない宗教曲を演奏するという経験は、感動的なものでした。
 これ以外に、今日の演奏会ではシューベルト「ロザムンデ序曲」、ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」、ドヴォルザーク「スラブ舞曲第10番」、シベリウス「フィンランディア」を演奏しました。私はオーボエを吹いているのですが、それ以外例年プログラムの作製などを担当しています。実はこのブログの文章などよりも曲の解説などのほうが力が入った文章になっているのですが、機会があったらここにも公開したいと思っています。

2007年2月18日 (日)

シューベルトのミサ曲

 もう12時を回っているので昨日のことになってしまいましたが、夕方から前橋交響楽団の練習がありました。普段は木曜の晩ですが、本番前の集中練習という事で、今回は合唱(「すいせい」)の方々も一緒の練習です。診療終了後、前橋の県公社総合ビルに向かい、途中から練習に合流しました。
 今回のメインのプログラムは、シューベルトのミサ曲第2番です。声楽曲は私の守備範囲ではなかったので、シューベルトに6曲ものミサ曲があることも認識していなかったのですが、若い頃(といっても夭折してしまったシューベルトですが)に書かれたこの2番は比較的よく演奏される、大変美しい曲です。とはいえクレドの中間部やアニュス・デイの一部のように、暗い淵を覗き込むようなゾッとする瞬間もあるところが、シューベルトの特長でしょうか。疲れた頭に鞭打って楽器を吹いていますが、音を出しながらハッとする瞬間です。

2007年2月14日 (水)

フランスからの荷物

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 昼間フランスから待望の荷物が届きました。というのは、約3週間前にネットで注文した楽譜が届いたのです。di-arezzoという楽譜店のサイトから(日本語対応)初めて注文してみたのですが、これまで色々と探索していた譜面が見つかり、しかもこんなに早く届き、感激しています。
 私はオーボエを吹くのですが、最近再評価され、レンチェシュが多く録音しているKoechlin(ケクラン)のオーボエ曲に注目しています。その中で、2つのモノディ(2 monodies)の楽譜がどうしても見つからなかったのですが、今回手に入れることができました。写真の左下です。
 ケクランは室内楽、オーケストラ曲など膨大な作品を残している近代フランスの作曲家です。最近いろいろな曲のCDが出始めており、もっと人気が出てもおかしくない人だと思います。若い頃オーボエを吹いていたという記述も見たことがあり、なんともオーボエ吹きの琴線に触れるような曲を残しています。最も技巧的にも体力的にも表現上も、難しい曲ばかりですが。
 なお、写真左上はシベリウスの第1シンフォニーのスコアです。私が入っている地元のアマオケ、前橋交響楽団の今年秋の演奏会のメインプログラムです。