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2008年7月22日 (火)

Er-YAGレーザー臨床研究会

 今日は東京国際フォーラムに、Er-YAG(エルビウム・ヤグ)レーザー臨床研究会第11回大会に行ってきました。主にモリタ(歯科の総合メーカー)製のレーザーのユーザーが会員の、メーカー主導の学会ですが、これまでいつも京都で開かれていたのが今年は東京だったこともあり、参加してきました。このレーザーを使用し始めて約1年半ですが、歯科用レーザーのこととなぜ私がこれを選んだのかは、当院のHPを見て下さい。今年の4月から保険に、無痛的ウ蝕除去加算としてEr-YAGレーザーによる硬組織(歯の)切削が20点(200円!!)認められ、注目されているところです。
 大会の内容は、特に目新しいことも少なかったのですが、この保険の「20点」をめぐってどう考えるか、もちろんたったこれだけ、という考え方もあるのですが、積極的にこれによってレーザーを使っていこうと前向きに考えるべきだという講師の先生の意見が、新鮮かつ最もと思いました。レーザーも夢の機械ではなく、思ったとおりの効果、例えば歯の切削では痛くなく、手早く、という効果を得るようになるには、それなりの研鑽、練習が必要です。どうしてもある程度高い機械なので、即効果が無ければがっかりするように思ってしまいがちですが、あくまでもひとつの「道具」であることを考えて、使いこなせるように努力する必要があるようです。

2008年7月19日 (土)

総義歯の作り方4

 しばらく中断しましたが、表記の記事第4弾です。

 かみ合わせをみた後、あとは技工操作で人工歯を並べます(人工歯配列)。そのまま完成まで行ってしまう事も可能ですが、当院では「試適」というステップを踏みます。これはいわば洋服の仮縫いみたいなもので、ロウ義歯、すなわち赤いワックスの歯肉の上に人工歯を並べたものを患者さんの口の中に入れて、前歯の位置が曲がっていないか、歯並びは患者さんの希望に沿っているか、口唇や頬のふくらみ具合はどうか、かみ合わせは正しいか、などを患者さんの意見を聴きながら、また術者の視点で観察しながらチェックし、必要なら修正します。
 慎重に採ったはずのかみあわせも、全く狂っている場合も時々あります。患者さんがご高齢であることや緊張のため、なかなか指示の様に顎を動かせないことも多く、また装置が総義歯の場合動いてしまいやすいことによります。試適のときに入れ歯の形になって初めて、適切に顎を動かせる場合もあるのです。そんな状況も、試適によってわかります。狂っている場合はもちろん、この段階でかみ合わせを採り直します。
 さて試適が済んだ後、ロウの部分をレジン(アクリル樹脂)に置き換えることで総義歯が完成します。ただ、患者さんに装着するまえに技工操作として、重合(アクリル樹脂を固めること)が終わったものを再度咬合器につけて細かい咬み合わせの調整をします。というのは、一連の技工操作、特に最後の重合の時、材料が収縮することによって歯の位置に必ず狂いが生じます。それをこの調整によって修正するのです。また大体並べてあった人工歯をしっかりかみ合わせ、また顎を動かした時にうまく運動できるように咬み合わせの面を微調整するのです。

 こうして出来上がった総義歯を、患者さんに装着することになりますが、その時も微調整は必要です。上下の顎に当たる面や咬み合わせの面等を入念に調整します。さらに患者さんに使っていただいた後も、必要ならば調整は続きます。ほんのちょっとのかみあわせの不調、床の長すぎ、短すぎ、厚すぎ、また人工歯の位置などによって、使い勝手や患者さんの感じ方は大きく変わります。

 そして大切なのは、義歯はセットして終わりではないことです。義歯によって顎の骨に力が加わると、大なり小なり必ず顎は減っていきます。また義歯の人工歯もどうしても磨り減っていきます。そのため、最低半年に1度くらいはかみ合わせや適合のチェックをすることが望ましいのです。あっていない義歯を使用していると、ガタツキによって痛くなったり、さらに顎の減る量が大きくなったりします。少し合わなくなった義歯は、リベースといって口の中で義歯の裏側に樹脂を流して咬んでもらうことにより、合わせることも可能です。