« 2009年のご挨拶 | メイン | 総合力のパーシャル その2 部分入れ歯の構造 »

2009年1月12日 (月)

総合力のパーシャル その1

はじめに・・・

  「パーシャル」とは部分的という意味ですが、歯科においてはふつう部分床義歯といっていわゆる「部分入れ歯」のことを意味しています。今年はこれからしばらく、このテーマについて書いていこうと思います。

 部分入れ歯を入れる治療の対象となるのは、歯の本数から言えば歯が「1本なくなった」状態から歯が「1本しかない」状態まで、(つまり上下それぞれ1~13本)13通りです。しかし歯の配置を考えると、ほとんど数え切れないくらいの種類となります。当然それぞれの状態で望ましい解決法も異なります。

 さらに、歯の形や状態、すなわち大きさ、膨らみ、虫歯の有無、冠を被せたり詰めたりしていないか、歯茎が下がっているか否か、グラグラしていないか、等々による違いがあり、また歯のない部分(「顎提」といいます)の形、広さ、粘膜の厚さや硬さ、等々による違いがあり、要するに非常にヴァリエーションに富んでいるということです。

 いずれにしても「パーシャル」の難しいところは、対象とするのが歯と顎提の両方であり、補綴装置にかかる咬み合わせ等の力を、全然性質の異なる両者にうまく配分しなければならないところにあります。さらにただ装着した時点で良いだけでなく、長期的にもできるだけ歯にも顎提にも害がない、すなわち長持ちするようにしなければならないのです。

 そんなわけで、きちんとした「パーシャル」を入れるためには、まず歯や歯周組織の前処置としての治療、すなわち虫歯の治療、歯の根の治療、歯周病の治療、冠やブリッジの治療、などがきちんとできなければならない。そして適切な補綴物の設計が出来なければならず、さらにその長期的な維持が出来なければならないのです。

 最も、ただ入れるだけだったら歯も削らない、パッと型を取って残っている歯にバネをかけて作れば総義歯と違って落ちることはない、嫌ならすぐに外せる、ので一番お気楽な治療にもなり得ます。患者さんの状況や要求によっては、その様な特性を活かして簡単に作ることも出来るのです。しかしいつでもそんな入れ歯では困るし、患者さんの高度な要求にはこたえることが出来ません。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.kazelog.jp/t/trackback/233039/17669600

総合力のパーシャル その1を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿