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2009年2月 5日 (木)

総合力のパーシャル その2 部分入れ歯の構造

 それではまず、基本的な「部分入れ歯」の話しから。部分入れ歯とひとことで言っても、歯が一本の義歯からほとんど総入れ歯に近いもの、前歯の入れ歯、奥歯の入れ歯、千差万別で、どこから説明してよいのか迷います。まず共通する部分というか、部品に分けることが出来るので、それを説明しましょう。まず失った歯の代わりになる「人工歯」、人工歯を支えるピンク色の「床」、そして入れ歯が落ちないようにするための「維持装置」です。Photo_2

 「人工歯」はまさにその名の通り、人の実物の歯に似た形をした人工の歯です。人の天然の歯は各個人によって大きさ、形、色など異なるので、人工歯も多くの種類があります。総義歯の場合かなり自由に、そろえて歯を並べることが出来ますが、部分入れ歯の場合残っている歯に、見かけも機能的にも調和するように並べなければりません。

 「床(しょう)」はこの人工歯を支持し、また人工歯に伝わったかみ合わせの力を顎提(歯のないあごの部分)に伝えます。さらに歯を抜いたあとに減ってしまった歯茎の部分を補うことで、唇や頬を内側から支え、また口の中の余分な空間を埋めます。基本的には歯肉の色のアクリル樹脂で作られますが、骨格に金属を用いる場合もあります。

 「維持装置」はいわゆる入れ歯のバネで、装置全体が所定の位置にしっかり収まり、外れたり動いたりしないようにするものです。普通の部分入れ歯では、歯を表・裏から2本の「腕」で囲むような形のバネ(クラスプという)が用いられます。これは針金を曲げたり、金属を鋳造(鋳物の方法)して作ったりします。その他にアタッチメントという精密な部品や、コーヌスクローネといって二重にした冠を用いる場合もあります。いずれもただ歯に引っかかって入れ歯を落ちない様にするだけでなく、義歯にかかる様々な力を適切に残った歯に伝えることが重要です。どのような装置を用いるか、またその配置などの設計はわれわれ歯科医師の腕の見せ所であり、それが義歯の作成当初の具合のみならず義歯と天然歯の寿命に大きく関わってきます。

 これら以外に、床や維持装置を連結する金属部分のパラタルバー(上顎)・リンガルバー(下顎)、フックやレスト等の補助的な維持装置など多種多様な部品を組み合わせて、部分入れ歯は出来ています。

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