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2009年10月 8日 (木)

オールオン4

 昨日、いわゆる「オール・オン4」もどき、を実施しました。「オール・オン4」とは無歯顎のインプラントによる補綴方法の一種で、4本(必要によっては5~6本)のインプラント上に全顎のインプラントブリッジを装着するもので、かつ手術当日(あるいは翌日)にプロビジョナルを入れてしまい、即時荷重を行う方法です。4本のインプラントは前歯部2本、臼歯部は下顎管という骨の中の太い神経を避けるために、神経の出口であるオトガイ孔より前に、かつできるだけ臼歯部に義歯を伸ばせるように後ろに傾斜させて、埋入します。
 今回は臼歯部にも十分な骨の高さがあり、かつ骨質も良好だったため、臼歯部のインプラントはオトガイ孔よりも後ろに埋めましたが、4本のインプラントによって作ってあったプロビジョナル(仮義歯)を装着しました。
 最近では「ノーベルガイド」等、CT画像を基にしたコンピュータシュミレーションによって精密なサージカルガイドにより、手術の時に骨に穴を開けるドリルの方向と長さを正確に規定し、ぴったりと予定した位置に埋入する方法もあります。これによればフラップレスといって粘膜に切開を入れなくてもインプラントの埋入が可能な場合もあります。
 しかしながら当院ではまだそれには対応しておらず、また安全のためにも切開してきちんと骨を露出し、方向や長さを骨の形と比べながらドリリングします。今回もCTを撮って計画はしましたが、開けてみると非常に不正な形の骨が残り、また前歯部は非常に硬く削るのに難儀な骨の密度でした。このような状態をフラップを開けないで手術するのは、逆によほどの経験が無ければ不可能だと思います。
 インプラントを埋入、アバットメントという義歯との結合部をインプラントにねじ止めし、歯肉を縫合した後に、あらかじめ作っておいた義歯をレジンで固定します。しかしこのような状態の骨だったので、もともと計画していた位置とかなりずれており、結構苦労して何とか定位置、すなわち上顎の義歯ときちんと咬む位置に固定することができました。ここまで手術開始から3時間、一応咬める状態で患者さんを帰すことができました。我ながら上手にできたと自己満足。
 今日は手術後の洗浄に来てもらいましたが、思いのほか腫れも少なく、義歯の咬合調整をしてかっちりと咬めるようにしました。これで数ヶ月使っていただき、きちんとした義歯を作ります。

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