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2007年2月26日 (月)

私のインプラント事始めその1

 先週の金曜日、また1例インプラントのオペがありました。以前書いたように、ちょうど緊張感が途切れないような感覚で埋入させてもらっています。また、上部構造(顎の骨に埋めたインプラントに結合し、実際にかみ合わせる歯)を作る前で仮歯の状態の方なども何人か同時に抱えており、おかげさまで様々な型の症例に取り組んでいます。これからしばらく私のインプラントに対する考え方などを書き留めたいと思います。
 現在主流であり圧倒的に信頼性の高いインプラント(円柱又は円錐形態でチタン製)はブローネマルク先生が始めたもので約40年の歴史を持っています。それ以前も骨膜下インプラント、ブレードインプラント、サファイアインプラントなど様々なものがありましたが、予後は短く確実性のないもので、歯科の中である種「眉唾もの」と見られていました。私が大学に在学し、卒業した頃すなわち20年ほど前は、じわじわと現在のかたちのインプラントが浸透してきた頃ですが、それ以前の経験から大学内でもまだまだ慎重な見方が多かったと思います。医科歯科大全体としても比較的保守的であった事、また私が残った教室の教授は歯根膜の機能を重要視する意見だった事などから、私も当時はまだまだ特殊なものと考えていました。
 大学院を終えて1年間教室に残り、その後群馬に帰ってきたわけですが、雑誌や学会の動向からインプラントがかなり広がってきた、進化してきたことは分かっていましたが、どちらかというとスペシャリストが行うものという考えで過ごしてきて、通常の治療の腕を磨く事に専念してきました。そして歯周病や義歯や補綴や外科など、いろんなことをかなり極めた人が、インプラントを行う資格があるのではと漠然と思っていました。
 ところが何年か前のある日、歯科助手対象の講習会で補綴の講義の準備をしている時だったと思います。当時親しかった若手の先生が「コーヌス(義歯の一種)の印象の仕方ってどうするのでしょうか」などと聞いてきたのです。その先生は毎年かなりの数のインプラントを行っている先生でした。聞かれたことは私には常識と思えるような、卒後すぐに習得した事だったので、ある意味非常にショックというか、「なーんだ、こんな感じでインプラントをやっているのか」という感じでした。
 それまでも手持ちの義歯、歯周病、根管治療などの技術で何とか噛める様に、歯を保存するように、患者さんの満足が得られるように努力してきましたが、どうしても無理ある症例があり、また1本でもインプラントを用いたら飛躍的に改善するのに、という症例がたくさんありました。したがって資格があるなら取り入れたいと思っていたのですが、前述のようにまだまだそれには私は未熟では、と躊躇していたのです。それが、前述のエピソードを機会に本格的に取り組んでみようと踏み出したのです。

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