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2010年6月16日 (水)

尾関先生講演会

 去る6月6日(日)、東京医科歯科大学歯科同窓会の講演会、「インプラント治療の最先端技術を学ぼう-低侵襲インプラント-」に参加してきました。講師の尾関雅彦先生は、現在昭和大学補綴の准教授、同時に昭和大学病院インプラントセンター副所長。医科歯科大学の出身で、はじめ病理に残って学位をとった後、本学第2口腔外科で診療され、その後昭和大学の補綴に移ったという少し変わった経歴の先生です。学生の時は口腔外科にいらっしゃり、親切に指導してくださった先生だった覚えがあります。さらにインプラントを始めるにあたって最初に受けた講習も、医科歯科同窓会主催の尾関先生のコースでした。そんなわけで今回新しいシリーズの講演会なので、感謝の意味もあり参加してきました。

 近年インプラントが骨にくっついて機能するのは当然のこととなり、それに加えて審美性、即時の機能、難症例への対応など、様々な条件が要求されるようになっています。そんな中で特に審美性の要求や骨のないことによる難症例への対応に関して、骨移植を含む大がかりな手術がされるようになりました。しかし患者さんの希望としては、当然あまり切りたくない、腫れたくない、痛くない方が良い、というのは当然です。さらに最近当院でも設置したように、歯科用CTがずいぶん普及してきました。

 そんな環境の中で、最近「グラフトレス」(移殖無し)、「フラップレス」(粘膜を開かない)などの低侵襲(できるだけ切らない)のインプラント治療が言われるようになってきました。以前からとても「勇気ある」先生方の中には、全然粘膜を開かないでズブっとドリリングをしてインプラントする方もいらっしゃったようですが、ブラインド(目隠し)でやっているに等しく、重大な結果を招く可能性のある極めて危険な方法でした。しかしきちんとしたサージカルテンプレート(手術時のドリリングのガイド)とCTを使う事により、これが安全かつ確実に行える可能性が出てきました。また移植に関しても、特に臼歯部などきれいな形の歯と歯肉を求められない部位では、残っている骨を極力利用してインプラントを植立する方法が注目されてきました。今回の講演会では、日本ではかなり初期にスウェーデンのブローネマルクのもとにに留学され、インプラントに関して長いキャリアと補綴、外科双方の豊富な知識をベースに持っていらっしゃる尾関先生により、これらの総論的、一部各論的な紹介がなされ、有意義な講演でした。

 自分の臨床では、まずグラフトレス(移殖無し)に関しては自分でも短いインプラント、傾斜させたインプラント植立、普段あまり使わない部位の骨の利用など、病院のCTを使っていた当時から色々と工夫してきたつもりです。しかし特に前歯部に関しては骨の吸収が大きかったり、審美的な問題から、特に軟組織の移殖は避けられない場合が多いようです。さらにフラップレス(切らない)に関しては、まだ怖くてやったことはありません。しかし今回、既製のソフトを使わないで行う方法については、十分な検討を行って施術すれば十分使えると感じました。特に有病、あるいは比較的高齢の患者さんに関しては非常に有用であり、研究してみたいと思います。

 この日は当院の衛生士にも同じ医科歯科のCDEのコース、「プロフェッショナルな歯科衛生士をめざして―患者さんと院長先生の信頼を得る―」に参加させており、電車の時間まで少しあったので、神田明神と湯島聖堂をお参りしてから一緒に帰ってきました。

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