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2008年3月26日 (水)

日本臨床歯周病学会第46回関東支部教育研修会

 去る3月23日(日)、東京九段にて行なわれた、臨床歯周病学会関東支部会の研修会に参加してきました。今回は10時から5時近くまでびっしりと、「再生歯科のテクニックとサイエンス」~歯周再生療法と審美領域のインプラントを中心に~ と題して、京都の宮本泰和先生の講演が行われました。宮本先生はJIADSの講師で、歯周外科に興味のある先生ならば大体名前を知っているような著名な臨床家であり、オペの名人として知られています。今回の講演は絶対にはずせないなと思っていましたが、期待どおりでした。歯周外科の歴史、変遷から先生の主に行なってきたオペ、そして歯周再生療法とその評価について。最近話題の中心になっている審美領域のインプラントの成功の基準、など尽きない話題で満載でしたが、私にとってはオペのビデオを見るだけでも非常に参考になりました。会場も若い人が多かったですがほとんど満席で、熱気のある講演でした。

 

ところでこの日は東京の桜の開花宣言もあり、とても暖かい良い日でした。昼休みには昼食に外に出ましたが、九段からふらふらと神保町、水道橋からお茶の水まで、建物や店先を覗きながら懐かしい大学時代のホームエリアを歩いてしまいました。普段歩こうと思っていてもどうも定着しない私ですが、つくづく東京のほうが歩き甲斐があると思いました。

2008年3月20日 (木)

総義歯の難しさ

Photo  口の中に装着する補綴物のほとんどは、残っている歯に固定源を求めます。固定式の義歯(ブリッジ)ではもちろん、削ってかぶせた固定源となっている歯と一体となります。取り外し式の部分入れ歯では、固定源となる歯にバネをかけて留めるので、ブリッジに比べると義歯の動きはだいぶ大きくなる場合が多いです。それでも正常に機能している状態では、落ちたり外れたりする事はないといえます。

 それでは、歯が1本も残っていない場合に作られる「総義歯」ではどうやって義歯を止めているのでしょう。簡単に言うと、気圧と口腔周辺の筋肉の力です。気圧とは、要するに義歯の内面(顎と接する側)に空気が入らないようにして、義歯が吸い付くようにする事です。そのためには義歯のふち(辺縁)の形や長さが非常に重要です。また筋肉とは口唇や頬、舌などの機能する力によって義歯を留まる方向に押し付けたり、さらに前記の「気圧」のために義歯の周りを塞いで空気が入らないようにする事で、義歯の外側の歯肉部分の形が非常に重要です。

 想像していただければわかると思いますが、このような不確実な力で義歯を口の中のある程度一定の位置にとどめておくのは非常に難しい事です。ましてや人の口は、ただ飾りとして義歯が入っていればいいのではなく、様々な食物を噛んだり、飲み込んだり、声を出して話したりする時に非常に複雑な運動をしなければなりません。何気なく作ったり使ったりしている義歯ですが、あらためて考えると作る我々もそれを使う患者さんも結構大変なことをしているのだと思います。