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2007年3月31日 (土)

ジャガイモ植え付け

 今週の木曜日には、借りている市民農園へジャガイモの植え付けに行きました。もう若干遅いのですが、しばらく前にタネ芋は買ってあったもののなかなか時間が取れませんでした。以前はジャガイモと言えば男爵とメークインだけだったのですが、最近はキタアカリ、アンデスのみならずいろいろなタネ芋が手に入ります。私は昔からメークインが好きなのですが、今年はそれ以外にキタアカリ、十勝コガネ、ルビーボールという品種を植えました。ジャガイモはよほどの事がなければ簡単に収穫できる、また収穫が楽しい作物の代表だと思います。品種が増えたことで別の楽しみも増えました。

 いまの時期、収穫できるのは「かき菜」です。北関東地方以外のかたはご存じないかもしれませんが、アブラナの一種で今の時期トウが立ってきたらそのわき芽の柔らかい部分を「かいて」収穫するものです。おひたしや胡麻和えにしても、汁の実にしてもあくがなくてとても美味しい、春の必需品です。

 今の旬といえば、我が家では土筆(つくし)を必ず食べます。やはり同じ日に、粕川の土手で摘んできました。今年は超暖冬でもう伸びきっているかと思っていましたが、ちょうど良い時期でした。土筆ははかまを取り除き、しょうゆで煮びたしにします。あるいは天ぷらにします。なくなった父方の祖母が毎年いまの時期になると食べさせてくれたものでした。スギナ茶などは抗がん作用があるとかいって売っていますが、この時期に土筆を食すと気温の変動が激しい春が「越せる」感じがします。こんなに美味しいものをなぜみんな食べないのだろうと毎年思います。

私のインプラント事始め番外ーPOCに行って来ましたその2

 他の3人のスピーカーは、フランスのF.Renouardにより「低侵襲のインプラント治療」として、フラップレス(歯肉の切開、剥離を行なわない術式)、グラフトレス(骨移植を行なわない)、ショートインプラント(短いインプラント)について講演されました。近年大規模な骨移植等を伴った再建がもてはやされてきた傾向がありますが、患者に対する侵襲の低減ということに重点を置いたアプローチについて述べられたのですが、特に短いインプラントの使用についてはこれまでも問題ないという意見はあったものの、多くの症例を示した説得力のあるものでした。
 次いでスイスのC.Haemmerleにより「上部構造と材料選択」および「抜歯窩の治癒とインプラント」として、治療計画および前提となる診断の重要性とその方法が、整然と述べられました。特にスライドの症例は審美性に優れたものばかりで、その臨床のアプローチの正しさを裏付けるものでした。
 さらにスウェーデンの歯周病学者T.Berglundhにより、「インプラントの生物学的トラブル―頻度と診断」および「リスク、影響因子と治療」として、インプラントの失敗に関わる特に歯周病学的な問題点が述べられました。高い成功率を強調するだけでなく、特に患者単位での失敗率を正しく見るべきであること、またインプラント周囲炎に対する対処方法については、臨床的にも非常に役立つものでした。
 

 最後に3氏と実行委員の先生方によるシンポジウムが3時間行なわれ終了となりました。実行委員による最後の挨拶では、今回を第1回としてこれから大学の研究者を中心とした学会に発展させていきたいとのことでした。非常に充実した2日間でしたが、1日目10~20時、2日目9:30~16:30という長丁場でさすがに尻と背中が痛くなりました。

2007年3月28日 (水)

私のインプラント事始め番外ーPOCに行って来ましたその1

 この間の土日(3月24・25日)に、医院を休診にして「第1回パシフィック・オッセオインテグレーション・カンファレンス(POC)」に東京へ行って来ました。現在のインプラントの源流であるスウェーデンのブローネマルクを日本に導入した小宮山先生が会長となり今年初めて行なわれた学会ですが、その目的は同氏の次の挨拶文の中に簡潔に述べられています。(「インプラント療法が、現代歯科学における有力な一選択肢であることは論を待ちません。科学的な背景を持たない方法が、安易に臨床応用された場合にはどのような結果を招くのか、多くの歯科医師は認識していると思われます。にもかかわらず、現実にはインプラント療法により所期の回復が得られないといった問題点が増えつつあり、一般の患者あるいは一部の歯科医師からインプラント療法が再び唾棄すべきものと捉えられかねません。このような状況になる前に、一人でも多くの患者が、適切な治療により快適な生活を享受できるように、歯科医師が正しい知識、適切な医術、そして真摯な心構えを学ぶことが求められています。(後略)」)

 定員700人の会場はほぼ満席で、まずブローネマルク先生のブラジルからの衛星中継による講演が行われました。総論ではインプラントを用いて快適な口腔内の状態がより多くの患者さんに享受されることを願っている事が、ひしひしと伝わってきました。残念ながらインプラントはまだ経済的な問題で浸透する事が阻害されていますが、その解決が課題であるようです。現在の仕事の紹介では、ほとんどが顎顔面補綴および四肢や手指などの機能回復の症例でした。ご年齢を感じさせない精力的な活動に感銘を受けました。

 その後に少し小宮山先生によってブローネマルクとその日本への紹介の歴史が話されましたが、前に書いた様に私が大学在学中がまさにその時期にあたり、当時の雰囲気も納得できるものでした。またそれを考えると当時医科歯科大学のインプラントグループで行なわれていた一連の業績は、極めて先進的であったこと、さらにそれがあまり日の目を見ないことは(もちろん私は全く当事者ではないのですが、何人かの友人がそこにいたことから)あらためて残念な事だと思いました。

2007年3月20日 (火)

私のインプラント事始めその6

 このような状況で、まだまだ初心者ながら1歯欠損の臼歯から遊離端ケース、審美の要求される前歯から無歯顎までの様々なケース、骨移植、GBR、ソケットリフト、傾斜埋入、オール・オン4、など様々なテクニックを経験する事ができ、ひととおりの状況には対応できる自信が何とかついてきました。これも、我ながらずいぶん集中して勉強した事と、遅くなって始めた事によってむしろこれまでのベーシックな臨床力が役に立っているのではないかと考えたいです。
 さて、ある程度ケースを蓄積してくると、あらためてインプラントの威力をひしひしと感じています。これまで苦労して歯を残し無理をしてブリッジを作ってもあっという間に壊れたり、どうしても義歯が安定しなかったり、大きな義歯床の違和感に悩まされたり、どうしようもなかった事をいとも簡単に解決してしまう場合も少なくありません。整理すると残存歯の犠牲を払わずに補綴できる事、(すれ違い、無歯顎を含めて)遊離端を解決できる事が最大の利点です。そして残念ながらインプラント適応の2つのハードルは、技術的なことよりも経済的な問題と、手術に対する恐怖感だと思います。

2007年3月18日 (日)

私のインプラント事始めその5

 さて、エントリーとして受講した講習会ではあくまでも急がない、無理をしない、最初は簡単なケースからという事が強調されていました。しかし実際の臨床においては、様々な理由で難しいケースがほとんどです。日本の保険制度は様々な問題もありますが非常に素晴らしい制度だと思います。しかしそのために保存が困難な歯も何とか頑張って残すことが行なわれ、そのため歯槽骨が大きく吸収してしまった状態で抜歯ということが多くなります。従ってその後にインプラントということになると、骨が不足していることが非常に多くなるわけです。さらに最近ではインプラントで噛めることは当たり前、綺麗に仕上がらなければ成功とはいえない状況です。
 というわけで、その後もいくつもアドバンスな講習会に出たり書籍を手に入れたり、これまで封印していたものを解き放ったように、勉強しました。幸いな事にこれまでGTRも経験していたし、ペリオやのう胞や根切のオペで骨をいじる事も行なっていましたので、比較的抵抗なくインプラントに取り入れることも出来ました。
 さらに診断の段階でも、いろいろとお願いして市民病院でのCT撮影のルートを作ることが出来ました。現在では少し難しいケースでは必ずCTを撮影してもらう事にしています。データをCDで受け取れば、無料のソフトで読んで分析することが可能です。さらにどうしても必要な時は、iCATという大阪大学初のベンチャー企業によるシミュレーションを依頼することが可能です。

2007年3月14日 (水)

私のインプラント事始めその4

 さて、ここで一度後戻りになりますが、私が大学に残っていた当時、すなわち今から約20年位前の状況を記したいと思います。医科歯科大学は比較的保守的だったと前に書きましたが、ブローネマルクのシステムが広まってきつつある当時、大学では第2補綴(クラウンブリッジの講座)の一部で、アパタイトインプラントの研究が行われていました。小木曽先生という方が中心になって行っていたのですが、毎年何人かの大学院生が論文を上げており、活発な活動を行っていました。第2補綴の主流派は昔から顎運動、咬合の研究チームで、大学の中でも最もアカデミックというか、誇り高き先生方がいらっしゃるところでした。その中でインプラントをやっていた人達は、小木曽先生がけっこう独特のキャラクターだった事もあいまって、異端扱いされていたのではないかと思います。また教室の外でも、面白く思っていない人も多かったようです。
 私の事情を書くと、卒後顎口腔機能治療部といって顎顔面補綴の部屋に残ったのですが、主任の大山教授は当時インプラント否定派でした。私たちの教室はまだ歴史が浅く、大学院生も私が6人目でしたが、これまでの研究テーマは顔面補綴の彩色に関すること、軟質裏装材に関すること、口蓋裂の補綴に関する事と続き、私は上顎欠損の維持装置に関することを行いました。ところが私の下の大学院生は、うって変わってインプラントのテーマを与えられました。それは生体ガラスという材質を用いたインプラントの基礎研究でしたが、教授は将来的には歯根膜を作ることが可能と考えていたようです。残念ながらこの材質は実用に至らなかったのですが、当時はチタンが実績を重ねる中で様々な材質が試みられていたようです。そんな事情もあって、私自身もどうもインプラント嫌いみたいになっていたようです。

 話を戻して私の同級生で、小木曽グループの大学院生となったのが2人いました。一人はクラブも同じオーケストラで、非常に仲の良かった益田高行君、もう一人はクラスの班が一緒で、やはりよく知っている魚島勝美君です。益田先生は現在も医科歯科の第2補綴に残り、教育に研究に活躍しています。魚島先生は新潟大学歯学部総合診療部の教授となり、これから私の息子がお世話になる予定です。また補綴学会関越支部会でよくお会いする機会もあります。さらにその2年下の大学院生に、前橋の田新歯科医院の石原秀一郎君がいます。石原先生は私の高校の同級生、それも同じクラスで机を並べていた中です。当時はみな動物実験を熱心に行い、アパタイトのインプラントやアパタイトによる顎骨の骨増生の基礎実験など、今考えるとまさに最先端をいく研究をしていました。群馬県にもインプラントを看板にしている有名な先生が何人もいますが、基礎からの本当のオーソリティは石原先生なのでは、と思います。私もインプラントについていろいろと教えていただき、またお互いに医科歯科の補綴関係の講座出身という事で診療の基本的なコンセプトは共有しているので、有意義に情報交換をさせていただいています。

2007年3月12日 (月)

レーザー研修会

 昨日朝から、レーザーの研修に行って来ました。乗った本庄早稲田駅も降り立った上野駅も冷たい雨に強風で頭が痛くなりそうでしたが、何とか不忍池端の(株)モリタにたどり着きました。午前中は「アーウィンアドベール臨床情報交換会」、午後は「レーザー臨床実習セミナー」で、いずれも川口市開業の篠木先生らが講師でした。
 レーザー装置を導入して2ヶ月めになりますが、一通りマニュアルどおりの使用は行ってきたものの応用というかコツと言うか、細かいノウハウやヒントを得るために、また改めてひととおりの知識を整理しようという目的で、受講しました。このレーザーは出力と単位時間の照射パルス数、また出力する先端であるコンタクトチップが様々選択でき、その組み合わせでいろいろな特性が得られます。今回の受講でよりスマートに臨床で用いる事が出来そうです。
 また、あらためてEr-YAG-Laser(エルビウム・ヤグ・レーザー)の他の波長のレーザーに対する優位性が理解できました。メーカー主催の講習会なのでこのレーザーの安全性や歯科における応用の広さが強調されていましたが、私もレーザーが欲しくて随分前から研究していたなかで、なぜ炭酸ガスレーザーが最も普及しているのか疑問で仕方なかったのでした。

2007年3月 4日 (日)

前橋交響楽団ファミリーコンサート

 本日午後、前橋の県公社ビルホールにて私の参加する「前橋交響楽団」の演奏会がありました。春は「ファミリーコンサート」と称して比較的小さな曲を演奏します。今年は混声合唱団「すいせい」と一緒にシューベルトのミサ曲第2番をメインに演奏しました。シューベルトは「冬の旅」などのリートで有名ですが、もともと教会の合唱団にいた事もあってミサも7曲書いており、この2番も18歳の時に作られた非常に美しい旋律にあふれた佳作です。オケは弦5部にオーボエ、ファゴット、トランペット、ティンパニという小編成ですが、合唱やソロなどの声と一緒に、あるいは対旋律として絡んでいく時、またなかなか演奏する機会のない宗教曲を演奏するという経験は、感動的なものでした。
 これ以外に、今日の演奏会ではシューベルト「ロザムンデ序曲」、ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」、ドヴォルザーク「スラブ舞曲第10番」、シベリウス「フィンランディア」を演奏しました。私はオーボエを吹いているのですが、それ以外例年プログラムの作製などを担当しています。実はこのブログの文章などよりも曲の解説などのほうが力が入った文章になっているのですが、機会があったらここにも公開したいと思っています。

2007年3月 1日 (木)

私のインプラント事始めその3

 さて、インプラントの導入の講習会といっても様々なレベルのものがあります。模型実習のみの簡単なものから、インプラント学会関係の100時間講習のような本格的なものまで、メーカーのポリシーも異なり、いろいろなものが開催されています。また講習を受けてもなかなか臨床を始めない先生もいらっしゃるようです。私が導入として受けた講習は中庸のものだと思いますが、それで実際の臨床に踏み切れたのは、やはりこれまでの歯科臨床の積み重ねがあったからだと思います。補綴関係は専門ですからもちろん不安はありませんが、外科手術についてもひとつはこれまで歯周治療を熱心に行ってきて、オペも普通にやってきた事、また歯根端切除や嚢胞の手術など歯科の小手術には積極的に取り組んできた事、というベースがありました。さらに、緊張する一例目の手術は家族に行うことが出来ました。
 インプラントのシステムについては、星の数ほどある中から、ノーベルバイオケアのシステムを選びました。これは最初の講習が同社のブローネマルクシステムを前提としたものであった事が大きいのですが、やはり最も長い伝統を持ち、さらに最近技術革新が著しいメーカーである事がその理由です。いまノーベルバイオケアにはブローネマルクとリプレイスセレクトという2つのシリーズがあるのですが、私は臨床的に簡単なリプレイスを選択し、現在に至っています。商品の価格という面でも残念ながら最も高価なのですが、やはり安全性、信頼性には代えられないと思っています。